2026年経済「午尻下がり」回避のカギは「HORSEのテーマ」

執筆者:滝田洋一 2026年1月2日
エリア: グローバル
株価を見れば「円売り=日本売り」とみるシナリオは説得力を欠く[2025年末の日経平均株価5万0339円48銭を示すモニター=2025年12月30日、東京中央区の東京証券取引所](C)REUTERS/Kim Kyung-Hoon
相場格言には干支にちなんだ「辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり」との言葉がある。日経平均が史上最高値をつけた昨年は確かに「天井」になりかねないが、2026年の日本経済を占うならば外的要因が見逃せない。緊張と妥協を往復する米中「G2」、その間に挟まれた日本は安全保障でも経済でも苦しい立場が続くだろう。ただし、高市政権の「責任ある積極財政」は成長を掴みかけているようにも見える。午年の馬にちなみ、2026年の日本を取り巻く経済のテーマを「HORSE」で整理してみよう。

 2026年は午年。高市早苗首相の率いる日本は、政治と経済がひとつになった課題に直面することになる。例年同様に英語の頭文字をとって、それらのテーマを「HORSE」と整理しよう。

Hegemony(覇権):対中国で欧州との戦略的協調が重要に

 Hはヘゲモニー(覇権)。覇権を争う米中両国は貿易や安全保障で手打ちしそうな雲行きになっている。2025年10月30日に6年ぶりに行われた米中首脳会談は大きな節目となった。11月24日の電話での米中首脳協議では、26年4月にドナルド・トランプ米大統領が訪中し、年内には中国の習近平国家主席が国賓として訪米することが申し合わされた。

長期的な競争関係は変わらずとも、しばらくは米中2つの超大国(G2)で万事を仕切ろうとの思惑が、特に米側に濃くなる可能性がある。となると、米国を後ろ盾とする日本の世渡りは気苦労が増す。2025年11月7日の台湾有事をめぐる高市首相の国会答弁をきっかけに、中国が日本に威圧姿勢を強めていることはその典型だ。トランプ大統領は習主席の中国に直接の物言いを避け、波風を立てない構え。日本としては苦しい立場だ。

 2025年1月に発足したトランプ政権は中国を目の上の瘤と見なして、強烈な関税を課した。なのに中国がレアアース(希土類)の輸出規制というカードを切った途端に、腰砕けになってしまった。トランプ政権は張り子の虎だったとの解釈が目立つが、実際の米中貿易はどう変わったか。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
滝田洋一(たきたよういち) 名古屋外国語大学特任教授 1957年千葉県生れ。慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程修了後、1981年日本経済新聞社入社。金融部、チューリヒ支局、経済部編集委員、米州総局編集委員、特任編集員などを歴任後、2024年4月より現職。リーマン・ショックに伴う世界金融危機の報道で2008年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」解説キャスターも務めた。複雑な世界経済、金融マーケットを平易な言葉で分かりやすく解説・分析、大胆な予想も。近著に『古典に学ぶ現代世界』『世界経済大乱』『世界経済 チキンゲームの罠』『コロナクライシス』など。
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