命運は2日の夜に尽きた ⓒ時事

 菅義偉首相が9月3日、次の自民党総裁選への不出馬を表明し、永田町に激震が走った。

 総裁選の告示日を17日に控え、二階俊博幹事長の交代を含む党役員人事や電撃解散で劣勢を挽回しようとしたが、「党のことを考えない私利私欲」などとかえって反発を招き、万策が尽きた。菅首相の不出馬表明を受け、パンドラの箱が開いたように河野太郎ワクチン担当相や石破茂元幹事長らも出馬準備を始めており、総裁選は混戦の様相を呈している。

菅首相が“選挙の顔”では戦えない

「新型コロナウイルス対策と総裁選の選挙活動を考えたとき、膨大なエネルギーが必要だった。両立はできない。どちらかに選択すべきだ。国民の皆さんにお約束を何回もしている新型コロナの感染拡大を防止するために私は専念をしたい。そういう判断をした」

 菅首相は3日午後、官邸で記者団を前に、不出馬の理由をこう説明した。いつものように正面を見据え、きりりとした表情は見せたものの、記者団からの質問には一切答えずに立ち去った。

 首相は2日夕、党本部で二階幹事長と面会した際、「総裁選に出ない選択肢など許されない」と語り、出馬に強い意欲を示していた。ただ、自民党幹部は、「再選しようと悪あがきして『膨大なエネルギー』を使い果たした結果、首相の命運は2日夜には尽きていた」とも語る。

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