写真撮影に応じてくれたヘイダリーさん一家(撮影:飯島健太)

 

 テヘラン中心部から南に離れた住宅街の公園に毎日姿を見せる親子がいる。イランの東で国境を接するアフガニスタンから逃れてきたローヤ・ヘイダリーさん(28)と3人の子どもたちだ。

 ヘイダリーさんは、まがりなりにも20年間存在してきた中央政府があっけなく崩壊し、タリバンの支配が戻ってきたことを現実として受け止められない。

「まさかタリバンが復権するなんて思ってもみませんでした。ましてや、故郷パンジシールがタリバンに包囲されるなんて、まったく想像できなかった。だって、20年前はタリバンの支配を免れて、それからもずっと平和な暮らしが続いていたんですから」

 多民族国家アフガニスタンのなかで人口が2番目に多いタジク系で、タリバンの宿敵だった北部同盟の故アフマド・シャー・マスード司令官の故郷であるアフガン北東部パンジシールは、「パンジシールの獅子」と呼ばれた司令官のおかげで、1996~2001年にタリバンが政権を掌握した時も独立が守られていた。

 現在、その司令官の息子アフマド・マスード氏がこの地域を拠点に反タリバン勢力「国民抵抗戦線(NRF)」を率い、アシュラフ・ガニ政権で第1副大統領だったアムルラ・サーレ氏を迎え、タリバンへの抵抗を続けている。

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