自動運転車開発に挑戦したセバスチャン・スラン氏には、親友を交通事故で亡くすという原体験があった(セバスチャン・スラン氏=中央=の公式Twitter @SebastianThrun より)

 前回は、「改革のフリ」ばかりでなかなか変われないままでいる間に日本の衰退が進行した、という話をした。一方、私自身が実際にグーグルで働いた経験や、アップル、アマゾン、マイクロソフト(MS)などと直接関わってきた経験を踏まえて述べると、グーグルを始めとしたGAFAやMSの人たちは世の中を本気で変えていく知恵とエネルギーにあふれている。毎年投じている研究開発費も桁違いで、「フリ」ではなく「ノリ」が良い。

 その結果、デジタルやクラウドの時代をリードして世界中の人々に新たな利便性を次々に提供してきた。民間企業でありながら世界人類のために公共投資を続けているような存在でもある。今や我々の日常でグーグル検索やグーグルマップを使えないとか、アマゾンで買い物ができなくなると大きな支障をきたすことになるだろう。

 今回のコロナパンデミックにおいても、グーグルはAI(人口知能)を使って感染状況を予測するサービスを逸早く公開した。2011年3月11日の東日本大震災の時にも「パーソンファインダー」という行方不明者を探すためのサービスを直後に公開した。本来であれば国や自治体が提供するような公共サービスを公的機関に成り代わって提供しているのだ。

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