官房長官秘書官として菅氏に仕えた中村氏(写真は長官就任の記者会見=9月22日) ⓒ時事

 ジャーナリストの伊藤詩織氏(32)が、性的暴行を受けたとして元TBS記者の山口敬之氏(55)に損害賠償を求めた控訴審が9月21日、東京高裁(中山孝雄裁判長)で開かれ、結審した。判決は来年1月25日に言い渡される。何の因縁なのだろうか。その翌日の22日に、事件をもみ消したとされる警察庁の中村格次長(58)が長官に就任した。

 9年近く続いた安倍・菅政権が終わりを迎えた。「安倍一強」とそれを支えた官房長官だった菅義偉首相のもとで、中央省庁が集まった霞が関には、上ばかりに気を配る「忖度官僚」や上ばかりを見る「ヒラメ官僚」が増殖した。安倍、菅両氏に秘書官として仕えた官僚は、軒並み栄達を重ね、省庁のトップの事務次官に上り詰めた。そうした人事のしんがりとなった中村長官の誕生は、滑り込み人事の様相が強い。

安倍元首相秘書の息子のケンカに出動も

 中村氏は福岡県出身で、東大を出て1986年に警察庁入りした。刑事畑での勤務が長く、警視庁刑事部捜査2課長などを経て、民主党政権時代の09年に官房長官秘書官になった。自民党が政権を奪取した12年以降は、菅官房長官に仕え、15年3月に警視庁刑事部長に戻っていた。TBSワシントン支局長だった山口氏にレイプされたと主張する伊藤氏が被害届を提出し、捜査の結果、準強姦容疑で逮捕状が出て、山口氏が成田空港に帰国したタイミングで身柄を確保する流れが固まっていた。しかし、中村氏はその捜査中止を命じたとされる。

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