ゼレンスキー大統領の悩みは深い(C)AFP=時事

 

バイデン大統領に反発したゼレンスキー大統領

 9月10日、ウクライナの首都キエフで「ヤルタ欧州戦略会議(YES)」が開かれた。講演したウォロディミル・ゼレンスキー大統領は米欧の高官や識者らを前にこう訴えた。

「改革が遅れているからウクライナはNATO(北大西洋条約機構)に加盟できないというのは誠実ではない。(中略)ロシアを勢いづかせたいのなら、ウクライナを入れなければよい。(中略)我々が必要としているのは欠陥を指摘する戦略的パートナーではなく、ウクライナを強固にする戦略的な友人だ」

 ウクライナのNATO加盟について、「汚職問題を解決してからだ」とはね付けたジョー・バイデン米大統領に反発したのだ。

 ドミトロ・クレーバ外相も、ウクライナのEU(欧州連合)加盟の道筋を示さない欧州に不満をぶつけた。

「ウクライナについて戦略的な展望があるのかEUに真意を問いたい。展望がないのであれば、我々は別の道を考える」

 ロシアのウラジーミル・プーチン政権が親欧米に転じたウクライナに侵攻し、同国南部クリミア半島を併合してから7年。ウクライナ東部のドンバス地方は、ロシアが軍事支援する親ロ派武装勢力が実効支配したままで、これまでの戦闘で1万4000人の犠牲者が出ている。

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