西村 私は本日の司会を務めるフォーサイト編集長の西村博一と申します。

 これまでForesightセミナーはオンラインだけで行ってきましたが、今回から新潮講座という当社の教養講座のプログラムとコラボレーションいたしまして、「新潮講座×Foresightセミナー」という形でオンラインとリアルのハイブリッドで行っております。

 本日は「巧妙化するサイバー攻撃と防御法」をテーマに、NTTのチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジストの松原実穂子さんにお越しいただきました。

 サイバー攻撃は、遡ればインターネット黎明期の1980年代終盤から事例があるようですが、多くの方々が強く意識するようになったきっかけは、たとえば2016年のアメリカ大統領選挙。民主党のヒラリー・クリントン候補と共和党のドナルド・トランプ候補が争った際に、ヒラリー・クリントン陣営にロシアからと思われるハッカー攻撃があったと報道されて注目を集めました。

 あるいは2017年に「WannaCry(ワナクライ)」と名付けられたランサムウェア攻撃が日立やJR東日本など日本の大手企業にも及び、サイバー攻撃に対するわれわれの注意が集まるきっかけになったと思います。また、今年5月の米石油パイプライン大手「コロニアル・パイプライン」に対するランサムウェア攻撃も、ジョー・バイデン米政権がサイバーセキュリティ政策を転換する大きなきっかけになりました。

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