グーグルは現場を組織が“下から”支える逆ピラミッド型のマネジメントを構築した(ナスダック上場間もない頃のラリー・ペイジ[左]とセルゲイ・ブリン=2005年撮影) ⓒEPA=時事

 前回は、実際にグーグルで働いたり、あるいはアップル、アマゾン、マイクロソフト(MS)などと仕事を通じて直接関わったりしてきた経験を踏まえて、「GAFAやMSの人たちは世の中を本気で変えていく知恵とエネルギーにあふれている」と述べた。では、彼らは実際どのような働き方をしているのか。今回は、筆者が経験したグーグルの働き方について具体的に紹介したい。

「凡庸な企業にはならない」というこだわり

 グーグルの働き方についてお話しする前に、かつてのソニーについて少しだけ触れておきたい。というのも、筆者にとってのグーグルの第一印象は、「なんだかグーグルって昔のソニーみたいだな」というものだったからだ。それで、グーグルに入社した直後に、ソニー創業者の一人である井深大の書いた設立趣意書をあらためて読み返してみたりもした。

 終戦の翌年、1946年1月に井深がしたためた設立趣意書に並ぶ自筆の文言はいかにも古めかしいが、内容は今でも斬新だ。特に「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」という人口に膾炙した一節や、「形式的職階制を避け、一切の秩序を実力本位、人格主義の上に置き個人の技能を最大限度に発揮せしむ」といった方針に込められたソニースピリットは、エンジニア天国といわれ次々にイノベーションを生み出すグーグルのスピリットにも大いに共通するものだ。

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