アフガニスタンに向けて出発のするため、C130輸送機に搭乗する自衛隊の派遣隊員(埼玉県の空自入間基地)[防衛省統合幕僚監部提供](C)時事

 8月15日、カブールは陥落した。アシュラフ・ガニ政権はあっけなく崩壊した。

大使館員が全員逃げた

 さらに驚くべき情報も入った。駐アフガニスタン日本大使館が閉鎖されたというのである(日本人大使館員全12名は17日に英国軍機で脱出し、トルコのイスタンブールに臨時事務所を設置。岡田隆大使は不在)。

 本当に全員逃げたのか? とわが耳を疑った。米軍はこの日もカブール国際空港を死守するために6000人の兵を派遣している。イギリスの大使が必死に「命の緊急ビザ」を書き続けていたのをはじめ、各国大使館も完全退避はしていない。それなのに日本大使館は、現地職員を置き去りにして全員が逃げた。

 私は国連職員として、東ティモールやシエラレオネなどの紛争地域で仕事をしてきたが、国連には危機管理についての明確な指針があった。危機が近づいたら、まずノンエッセンシャルスタッフを先に近隣国に一時退避させる(危機が遠のいたらすぐ戻れるようにしておく)。そしてコアスタッフはぎりぎりまで活動を続ける、というものだ。これには理由があり、1つは行っている活動をともかく続けること、もう1つはいざというときに完全に逃げ切るには、人数が少なく身軽な方がいい、ということだ。

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