なぜアフガンに自衛隊を派遣しなければならなかったのか(下)

アフガニスタンに向けて出発のするため、C130輸送機に搭乗する自衛隊の派遣隊員(埼玉県の空自入間基地)[防衛省統合幕僚監部提供](C)時事
アフガン人を見捨てるのは卑怯なふるまいだ――だからこそ「法体系なくして派遣なし」との信念を曲げ、超法規的措置でも自衛隊を送る必要があった。しかし外務省も防衛省も“命の問題”への反応は薄かった。

 8月15日、カブールは陥落した。アシュラフ・ガニ政権はあっけなく崩壊した。

大使館員が全員逃げた

 さらに驚くべき情報も入った。駐アフガニスタン日本大使館が閉鎖されたというのである(日本人大使館員全12名は17日に英国軍機で脱出し、トルコのイスタンブールに臨時事務所を設置。岡田隆大使は不在)。

 本当に全員逃げたのか? とわが耳を疑った。米軍はこの日もカブール国際空港を死守するために6000人の兵を派遣している。イギリスの大使が必死に「命の緊急ビザ」を書き続けていたのをはじめ、各国大使館も完全退避はしていない。それなのに日本大使館は、現地職員を置き去りにして全員が逃げた。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
伊勢崎賢治 東京外国語大学大学院教授。1957年東京生まれ。内戦初期のシエラレオエネを皮切りにアフリカ3カ国で10年間、開発援助に従事し、その後、東ティモールで国連PKO暫定行政府の県知事を務め、再びシエラレオネへ。同じく国連PKOの幹部として武装解除を担当し内戦の終結に貢献する。その後、アフガニスタンにおける武装解除を担当する日本政府特別代表を務める。著書に『新国防論 9条もアメリカも日本を守れない』(毎日新聞出版)、『本当の戦争の話をしよう:世界の「対立」を仕切る』(朝日出版社)、『日本人は人を殺しに行くのか:戦場からの集団的自衛権入門』(朝日新書)、『武装解除』(講談社現代新書)、『テロリストは日本の「何」を見ているのか』(幻冬舎新書)、『文庫増補版 主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿 』(布施祐仁氏との共著、集英社文庫)など。
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