スーダンの首都ハルツームで、クーデターに抗議する人々 (C)AFP=時事

 10月25日、アフリカの大国・スーダンで、クーデターが発生した。薄氷の民主化が国軍のクーデターで崩壊するという出来事は、東南アジアを攪乱し続けているミャンマーを彷彿とさせる。

 だが実はアフリカでは、今年だけでもマリやギニアなどでクーデターが続いて発生している。世界的な傾向として、民主的プロセスが軍のクーデターで覆されるという波が起こっているのだ。

 冷戦終焉後の世界においては当初、民主主義を掲げる諸国の数が増加し続けた。特に最初の20年ほどは、民主化の広がりが大きな世界的傾向だと言えた。しかし現在では、民主化が退潮する傾向が強まっている。

 冷戦終焉直後の1990年代には、「自由民主主義の勝利」や「民主的平和(民主国同士は戦争をしない)」といったテーゼが熱っぽく語られていた。しかし21世紀の「対テロ戦争」の時代では、中東の民主化を目指すアメリカが主導した、アフガニスタンやイラクにおける国家建設活動が大きな壁にぶち当たり、イスラム過激派によるテロ活動も活発になった。

 そして2010年代の「アラブの春」の民主化運動は、結果的には北アフリカから中東にかけての地域の多くの諸国における、権威主義体制の復活または内戦の混乱をもたらしただけで終わった。

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