中国は月探査や火星探査でも米国に追いつこうとしている(月面に着陸した「嫦娥5号」から広がる中国国旗)   ©︎AFP PHOTO / China National Space Administration

   宇宙は今や、現代戦において最も重要なドメイン(戦いの領域)の一つであり、大国が制宙権(宇宙の支配権)を確保しようとして争う舞台となっている。そして、あらゆる宇宙技術は「軍民両用」であり、宇宙に関する能力は、軍事のみならず商業などの民間の用途に不可欠な支援を提供している。宇宙ビジネスにおける技術及びコスト面での参入障壁は低下し、多くの国々や企業が人工衛星の建造、ロケット発射、宇宙探査、有人宇宙飛行などに参加できるようになった。この進歩は新たなビジネスチャンスを生み出しているが、新たなリスクも生じている。なぜなら、一部の国家とくに中国とロシアは、宇宙空間において米国に対抗し、他国の宇宙利用を脅かす能力を向上させているからだ。

   米国の国防情報局(DIA)が公開した文書[1]によると、安全保障における宇宙の重要性を以下のようにまとめているが、宇宙における米中覇権争いは日本人が考える以上に激しいものになっている。

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