米国と対等に戦う「唯一の切り札」:「宇宙覇権」獲得に突き進む中国

執筆者:渡部悦和 2021年11月7日
タグ: アメリカ 中国
エリア: アジア 北米
中国は月探査や火星探査でも米国に追いつこうとしている(月面に着陸した「嫦娥5号」から広がる中国国旗)   ©︎AFP PHOTO / China National Space Administration
「情報領域」での優越を現代戦の最優先事項とする中国は、関連する軍の能力をすでに大きく向上させた。紛争初期にサイバー攻撃や電磁波攻撃で宇宙の資産を無力化できれば、米国とその同盟国の脆弱性を有効に突けると見るからだ。急速に接近する両国の宇宙開発能力を背景に、米中宇宙覇権争いが激しさを増す。

   宇宙は今や、現代戦において最も重要なドメイン(戦いの領域)の一つであり、大国が制宙権(宇宙の支配権)を確保しようとして争う舞台となっている。そして、あらゆる宇宙技術は「軍民両用」であり、宇宙に関する能力は、軍事のみならず商業などの民間の用途に不可欠な支援を提供している。宇宙ビジネスにおける技術及びコスト面での参入障壁は低下し、多くの国々や企業が人工衛星の建造、ロケット発射、宇宙探査、有人宇宙飛行などに参加できるようになった。この進歩は新たなビジネスチャンスを生み出しているが、新たなリスクも生じている。なぜなら、一部の国家とくに中国とロシアは、宇宙空間において米国に対抗し、他国の宇宙利用を脅かす能力を向上させているからだ。

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カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
渡部悦和 1955年、愛媛県生まれ。元陸上自衛隊東部方面総監、元富士通システム統合研究所安全保障研究所長、元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー。78年東京大学卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、第28普通科連隊長(函館)、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011年に東部方面総監。13年退職。著書に『自衛隊は中国人民解放軍に敗北する!?――専守防衛が日本を滅ぼす』(扶桑社新書)、『日本の有事 ー国はどうする、あなたはどうする?』(ワニブックスPLUS新書)など。
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