世界共通のワクチンパスポートは水際対策に不可欠な要素(日本入国のため検疫施設で手続きを待つ人たち=成田空港)  ©︎時事

   とある日本のベンチャー企業が、世界標準規格を握ろうとしていることをご存知だろうか。それが世界の往来に必須となる「ワクチンパスポート」のデジタル規格だとすれば、その規模感は計り知れない。途方もないビッグディールを目前としているその企業とは、いったい何者なのか。

デジタル通貨開発からワクチンパスポートへの「必然」

   そのベンチャーとはフィンテック分野のスタートアップ企業のGVE(登記上の本社は東京都中央区)。スイスに本社を置く大手銀行UBSグループでマネジャーを務めた元金融マンの房広治(ふさ・こうじ)氏を中心に設立された。

   GVEはこれまでにデジタル通貨の開発などを行ってきた。近年、各国の中央銀行が、現金をデジタル通貨に置き換える「中央銀行デジタル通貨」(CBDC)の導入に向けて実験を行っており、GVEは特に新興国が中銀デジタル通貨を導入するためのプラットフォーム設計に協力してきた。アジアではネパールがGVEと国際協力機構(JICA)の協力を得て実験を行う計画という。

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