民主化を阻害するデジタル技術の輸出管理

 バイデン米政権は12月9・10日に「民主主義サミット」を主催したが、サミット開会に合わせて9日に「民主主義再生のための大統領イニシアチブ(Presidential Initiative for Democratic Renewal)」を発表した。

  このイニシアチブでは米国が各国に向けて民主化を働きかけ支援していく際の5つの重点項目を立てて、それぞれについての米国の各国と協調して提案する施策を並べているが、そのうち4番目の「民主化のための技術の推進(Advancing Technology for Democracy)」が興味深い。ここでバイデン政権は民主化のために開かれた安全なサイバー空間を確保する、民主化の役に立つデジタル技術を広めるといった点と並んで、権威主義体制によるデジタル技術の利用に対抗する政策を掲げている。ここに、権威主義体制がデジタル先端技術を輸入して民主化勢力の弾圧に用いることを防ぐための新枠組み「輸出管理・人権イニシアチブ(Export Controls and Human Rights Initiative)」が盛り込まれている。この新枠組みは「民主主義サミット」の場で、米国がオーストラリア、デンマーク、ノルウェーと共に設立を宣言し、カナダ、フランス、オランダ、英国の支持を得たものである。

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