安倍氏は「衛藤さんはダメだね」と周囲に漏らした(憲法改正推進本部役員会で挨拶する衛藤氏=中央=2020年10月8日) ⓒ時事

 衆院選後の11月9日、自民党は憲法改正推進本部の本部長に衛藤征士郎元衆院副議長の留任を発表した。ところが推進本部は19日に「憲法改正実現本部」と改称され、この“立ち上げ”に伴い、古屋圭司元国家公安委員長が本部長に起用された。引き続き本部長を務めるとばかり思っていた衛藤氏にとっては、文字通り寝耳に水だったという。

 1955年の結党以来、憲法改正を党是に掲げる自民党で何が起きているのか。その舞台裏を、憲法問題に詳しい閣僚経験者が解説する。

「衛藤氏は、憲法審査会の審議を待っていてはラチがあかないと考えて、超党派の議員連盟を作って改憲案をまとめようとしていた。しかし、それではいたずらに野党第一党の立憲を刺激するだけ。衛藤氏の動きはそういう微妙な配慮に欠けるものだった」

 実際、改憲に前向きな日本維新の会の馬場伸幸共同代表や国民民主党の玉木雄一郎代表には、早くから衛藤氏から参加の呼びかけがあったとされるが、それでは改憲に慎重な立憲がヘソを曲げるというワケである。

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