そう簡単には“上がれ”ない(村田隆氏=内閣官房公式サイトより)

   1月14日、政府は新たな内閣危機管理監に元警察庁警備局長でフィンランド大使を務めた村田隆氏(60歳/1984年警察庁入庁)を起用する人事を決め、その日に発令された。前任の沖田芳樹氏(65/81年入庁)が2年半以上の任期になったことなどから、官邸が後任の人選を急いでいた。歴代の危機管理監は警視総監からの起用が多く、警備局長を最後に警察人生を終えたキャリアが就任するのは実に約20年ぶりのこととなる。

 北九州市出身の村田氏は、鹿児島ラ・サール高校を経て東京大学法学部を卒業後、警察庁に入庁した。主として外事部門や警備、テロ対策などを担当し、警視庁刑事部長、警察庁長官官房審議官、同総括審議官、大阪府警本部長といった枢要ポストを歴任。「聡明で物腰が柔らかく、マスコミ受けも良い。米国の日本大使館に参事官として勤務した経験があり、英語も堪能な逸材。何事もなければ警察庁長官、悪くても警視総監のポストは固いと目されていた」(警察庁関係者)。

   ところが警察庁では、村田氏の2期後輩にあたる中村格氏(58/86年入庁)、露木康浩氏(58/86年入庁)という同期コンビを連続して長官に充てる異例の構想が進められた。優秀さに甲乙付け難いとされ、上司の覚えもめでたい二人だけに、庁内では「何とか二人とも長官に就任させよう、とのコンセンサスが醸成された」(同前)。割を食ったのが村田氏だ。同氏が警察庁長官や警視総監のポストに就くと、年次などの関係から“異例の構想”が実現できない。2019年4月のフィンランド大使転出には、こうした庁内力学が働いたという。

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