マネーから読み解く2022年の世界(下)

執筆者:滝田洋一2022年2月15日
FRBは住宅市場のバブルにも目を光らせている(パウエルFRB議長)ⓒEPA=時事

*「マネーから読み解く2022年の世界(上)」はこのリンク先からお読みいただけます。

Q1:アメリカの株式市場と日本の市場は「コピー相場」と言われることがありますが、今年の日本株市場を見ていく上で何がポイントになるのでしょうか。

FRBの住宅ローン担保証券売却が孕むリスク

滝田洋一:日本の株式市場だけを議論しても実りがないと思うので、アメリカの構図がどうなるのかについてお話しします。

 アメリカの大きな資産市場の1つは株式、もう1つは住宅です。FRB(米連邦準備制度理事会)は、このうちの住宅市場にバブル懸念を抱いていると思います。日本のかつてのバブルを見ても、株式だけのバブルだったら、1989年に崩壊した後、こんなに長く経済低迷が起こることはなかったはずです。

 アメリカの今のインフレで重要な要素は家賃の上昇で、その背景には、前年同期比で10〜15%の上昇率を見せている住宅価格があります。

 住宅価格については、FRBはジレンマを抱えています。アメリカの量的緩和は、お金を出す代わりにアメリカ国債と、住宅ローン担保証券(MBS:Mortgage Backed Securities)を買うことで進めています。日銀はETF(上場投資信託)を買って資産市場を支えていると言われますが、実はFRBも住宅ローン担保証券を購入することで、住宅市場にお金を流しているのです。

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