侵攻の切り札「ロシア第1親衛戦車軍」の密かな改編

IN-DEPTH【ニュースの深層】

執筆者:藤村純佳2022年2月23日
ロシア国防省が公表した動画に映り込んだ「証拠」

 

 昨年末以来、ウクライナ国境付近でのロシア軍の展開が目まぐるしく報じられる中で、ロシア地上軍の主力であり、ウクライナ侵攻の切り札とも言うべき第1親衛戦車軍(1TA)の編制が密かに変わっていたことが明らかになった。

2個師団・2個旅団から3個師団・1個旅団の構成へ

 これまで知られていた1TAの編制は、第2親衛自動車化狙撃師団・第4親衛戦車師団の2個師団と第6戦車旅団・第27親衛自動車化狙撃旅団の2個旅団を基幹とし、これに第288砲兵旅団・第112親衛ロケット旅団・第49高射ロケット旅団といった軍レベルの砲兵・ミサイル部隊や支援部隊が付随するものだった。

 しかし、基幹部隊のうちニジニ・ノヴゴロド州ムーリナに駐留する第6戦車旅団が2021年12月に「第26戦車連隊」へ改編され、新たに同連隊を指揮下に置く「第47親衛戦車師団」が1TAの下に設置されていたことが判明したのである。

 ロシア国防省は、1TAの改編に関する公式のプレスリリース等を現時点では一切出していないが、ムーリナ駐屯地があるニジニ・ノヴゴロド州ヴォロダルスキー地区の地元紙《ズナーミャ》が12月10日付けの記事[1]で部隊改編の歓迎行事を報じたことで公になった。かつてソ連軍に存在した第47親衛戦車師団は、1997年に廃止されるまでムーリナ(1993年までは東ドイツ)に駐留しており、「地元」であるムーリナ村(ヴォロダルスキー地区)では地方当局の関係者やユナルミヤ(全国軍事愛国社会運動協会)の学童が式典に招かれたということらしい。

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