日本の追加接種終了率はG7で最下位が続く(ワクチン追加接種を受ける政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長)   (C)時事

 ロシア軍によるウクライナ侵攻が世界の関心を集めている。この軍事行動が世界に与える影響は専門家の議論に譲るとして、私が興味をもっているのは、新型コロナウイルス(以下、コロナ)オミクロン株への対応だ。本稿で論じたい。

 実は、ロシア、ウクライナの流行状況は、現在の我が国と酷似する(図1)。

図1

 例えば、ロシアの感染者は2月15日にピークをうち、漸く下がり始めたところだ。そこで、隣国に戦争を仕掛けたことになる。

 ロシアでのコロナ被害は甚大だ。図2は2月25日現在の主要先進7カ国(G7)、およびロシアの人口100万人あたりの死者数を示す。ロシアは5.21人で、米国(5.29人)に次いで多い。

図2

 ロシアで死者が多いのは、十分なコロナ対策が採られていないからだ。2月17日現在のワクチン接種終了率は49.1%で、G7+ロシアで最低だ(図3)。

図3

 追加接種終了率に至っては9.0% (2月17日現在)で、G7で最低の日本(17.4%、 2月24日現在)の半分程度だ。国民へのコロナ対策そっちのけで、ウクライナ侵攻を始めたことになる。

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