イエメンの首都サヌアで、戦死した戦闘員のひつぎを前にスローガンを唱える武装組織フーシ派のメンバーら=撮影2021年2月16日(C)AFP=時事

 

「シーア派の三日月地帯」の温度差

 現在、中東で活動する主要な親イラン勢力には、イラクの人民動員隊(PMF)やレバノンのヒズボラが挙げられる。イランはシリアのバッシャール・アサド政権と友好な関係で、イランの革命防衛隊が育成した民兵組織ファテミユン旅団も、存在感を見せてきた。

 いずれの勢力も、過激派組織イスラム国(IS)の掃討に欠かせない役割を果たした。

 イランが事実上の自らの勢力を広げた動きの根本には、革命防衛隊で対外工作を担うコッズ部隊で1998年2月から司令官を務め、2020年1月に米軍に暗殺された、ガセム・ソレイマニの存在がある。ソレイマニはイラク、レバノン、シリアの3カ国を頻繁に訪れ、各勢力に軍事的な助言をしていた。

 これらの勢力はイランに対する忠誠心が強く、イランの国教イスラム教シーア派を信奉する点で共通している。そのため、「シーア派の三日月地帯」と呼ばれても違和感はない。

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