プーチン大統領の決意はどこで揺らぐか、あるいはどこまでも揺らがないのか (C)AFP=時事

 武器があるから戦争が起きるわけではない。武器を持つ政治指導者が、戦争を始める。ウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵略は、そのことを世界にまざまざと見せつけた。

 ロシアは2021年前半からウクライナ国境に大規模な部隊を集結させ、ウクライナへの軍事的威圧を続けた。昨年12月にはNATO(北大西洋条約機構)がウクライナを含め、これ以上、拡大しないよう求める合意案を米国およびNATOに送り付け、1月にも米国、NATOおよびEU(欧州連合)に対し書面で再度、要求を突きつけた。緊張が高まる中、イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長はロシアに対し、ウクライナへの更なる侵略は「高い代償を伴う」と警告を続けた。その呼びかけにもかかわらず、プーチン大統領は2月24日にウクライナへの軍事侵攻に踏み切った。

 ウクライナは市民に多くの犠牲を出しながらも、国を守り抜くため徹底抗戦を続けている。並行して、交渉による戦争終結を目指す動きも進んできた。開戦5日目の2月28日にはロシアとウクライナの代表団が協議を開始した。3月10日にはトルコのメヴリュット・チャヴシュオール外相が、トルコ南部のアンタルヤにロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と、ウクライナのドミトロ・クレバ外相を招き、3カ国外相会合を開催した。しかし目立った進展は見られなかった。その後、エマニュエル・マクロン仏大統領とオーラフ・ショルツ独首相がプーチン大統領と電話会談し即時停戦を求めるも、マクロンは、プーチンが停戦の前提としている条件があまりに厳しく、近々で状況の改善は見込めないと明らかにした。3月14日からはロシアとウクライナによる第4回協議がオンラインで実施されているが、依然として立場の隔たりは大きいようである。

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