ロシアのウクライナ侵略はどのように終わるのか:交渉による和平合意か、プーチンの侵略の継続か(上)

執筆者:相良祥之 2022年3月16日
エリア: ヨーロッパ
プーチン大統領の決意はどこで揺らぐか、あるいはどこまでも揺らがないのか (C)AFP=時事
いま進行中の危機から次の危機へ。情勢が不透明であればこそ、国際紛争や紛争解決の実務においては楽観から悲観までのシナリオをできるだけ幅広く想定する。その出発点に立つためには、ロシア、ウクライナ、米国およびNATOなど、紛争当事者の立場と利害関心を整理することが必要だ。(この記事の後半は、こちらのリンク先からお読みいただけます

 武器があるから戦争が起きるわけではない。武器を持つ政治指導者が、戦争を始める。ウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵略は、そのことを世界にまざまざと見せつけた。

 ロシアは2021年前半からウクライナ国境に大規模な部隊を集結させ、ウクライナへの軍事的威圧を続けた。昨年12月にはNATO(北大西洋条約機構)がウクライナを含め、これ以上、拡大しないよう求める合意案を米国およびNATOに送り付け、1月にも米国、NATOおよびEU(欧州連合)に対し書面で再度、要求を突きつけた。緊張が高まる中、イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長はロシアに対し、ウクライナへの更なる侵略は「高い代償を伴う」と警告を続けた。その呼びかけにもかかわらず、プーチン大統領は2月24日にウクライナへの軍事侵攻に踏み切った。

カテゴリ: 軍事・防衛 政治
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執筆者プロフィール
相良祥之(さがらよしゆき) 公益財団法人 国際文化会館 アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)主任研究員。1983年生まれ。研究分野は外交・安全保障政策、経済安全保障、制裁、国際紛争、健康安全保障。民間企業、JICAを経て国際移住機関(IOM)スーダン(2013-2015)、国連事務局政務局 政策・調停部(2015-2018)、外務省アジア大洋州局北東アジア第二課(2018-2020)で勤務したのち現職。著作に『新型コロナ対応・民間臨時調査会(コロナ民間臨調)調査・検証報告書』(共著、2020年)など。国連ではニューヨークとスーダンで勤務しアフガニスタンやコソヴォでも短期勤務。東京大学公共政策大学院修了。ツイッター:https://twitter.com/Yoshi_Sagara
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