「ノルドストリーム1」によるガス供給は、今年1月と2月の欧州向けの6割を占めた(ノルドストリーム1のパイプ=独ルブミン、2022 年撮影) (C)Reuters/Hannibal Hanschke

[ベルリン発ロイター]ウクライナ危機のさなか、ロシアはパイプライン「ノルドストリーム1」を通じたドイツへのガス供給を止める可能性があると揺さぶりをかけた。今年1月と2月、ロシアからヨーロッパへのガス供給の6割を占めていたルートを不通にするという。

 西側諸国からの制裁が強化されたことへの反発から出たモスクワのこの脅しは、ヨーロッパのガス価格を急騰させ、もしロシアからのガスを全面的に停止されたら欧州最大の経済大国ドイツはやっていけるのかという疑問を浮上させた。

 今のところ、この冬を越せるだけのガスはある。独天然ガス貯蔵システム運営業協会INESによれば、ドイツの天然ガス貯蔵施設は2月、35%以下の充填率で、2月としては前例のない低さだった。とはいえ、発電と4150万世帯のおよそ半分が天然ガスを使う家庭用暖房には、十分な量だ。

発電用すら配給になる可能性も

 ロシアのガス輸送がもし停止されるならば、その厳しい結果が突きつけられるのは、次の冬が到来した時となる。今パイプラインが止められて、夏の終わりまでに貯蔵施設が満タンにならなければ、ドイツは暖房と場合によっては発電用のガスも配給にせざるを得なくなるかもしれない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。