ウクライナ侵攻は「自由主義陣営」復興の契機となるか

Foresight World Watcher's 4Tips

執筆者:フォーサイト編集部2022年4月1日
自由主義陣営の結束は復興につながるのか(C)shutterstock.com/Dmitry Demidovich

 

 今週もお疲れ様でした。ロシアのウクライナ侵攻によって自由主義陣営が結束を強めるなかで、英国のEU離脱や米国のトランプ現象に象徴されるリベラリズムの弱体化に歯止めがかかり、リベラリズムが復権する契機となるのではないか――という議論の高まりが注目されます。一方で、それに懐疑的なスタンスなのが、米「フォーリン・アフェアーズ」誌の「リベラリズムの偽りの夜明け?」

 新たな1週間を迎える前に、フォーサイト編集部が週末に熟読したい海外メディアの記事4本、皆様もよろしければご一緒に。Hope you have a great weekend!

Russia's War Is the End of Magical Thinking【Edward Alden/Foreign Policy/3月31日付】

「コンドリーザ・ライス元米国務長官は、2018年の共著『ポリティカル・リスク[Political Risk]』で、ロシアのプーチン大統領との1時間に及ぶ交渉のエピソードを明かしている。明らかに保護主義的な理由からロシアは米国の豚肉製品の輸入を禁止していた。[中略]ライスはこう振り返る。『私たちは1時間、丸々1時間、豚肉に費やした。私の出身地であるアラバマと比較して、ロシアの調理習慣について長い間議論したのだ。[中略]米国の国務長官がロシアの大統領と1時間かけて豚肉の話をする日が再び来るとは想像しがたい。また、それを期待することもできない。過去30年間の地政学的安定は、政府にも企業にも魔法のような思考を生みすぎた。世界経済は依然として高度に統合されているが、同時に大きな混乱が生じやすい」

 このように説くのは、米外交問題評議会(CFR)上席研究員のエドワード・オールデン。米「フォーリン・ポリシー(FP)」誌に寄せた「ロシアによる戦争は魔法思考の終焉」で、指導者たちが「豚肉生産者だけでなく大小さまざまな企業にとっての経済的機会を追求し、それを維持することに集中することができた」のは「冷戦終結後の30年間、世界がほぼ安定していたため」だとし、この大前提の変化と影響について論じている。

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