ウクライナ南東部ザポロジエの原子力発電所のライブカメラに映った落下する光る物体=3月4日[ザポロジエ原子力発電所YouTubeより](C)時事

   医療ガバナンス研究所には、妹尾優希さんというスロバキアのコメニウス大学医学部を卒業した医師がいる。ロシアのウクライナ侵攻開始以降、彼女はSNSを通じ、現地の友人たちと連絡を取り合っている。彼女を通じて入手する情報は、日本での報道とは随分違う。

ウクライナ周辺国に広がる被曝への恐怖心

   彼女が強調するのは、ウクライナ以上に周辺国の住民が被曝を心配していることだ。例えば、スロバキアではヨウ素剤の需要が高まると同時に、3月2日には1万人以上のスロバキア国民が、国外への避難のためにパスポートを請求した。NATO(北大西洋条約機構)加盟国であるスロバキアにロシアが軍事侵攻することは考えにくいから、これは原子力発電所への攻撃によって放射性物質が漏出した場合への準備だ。

   そしてスロバキアに限らず、程度の差こそあれ同じようなことが、ウクライナと国境を接するポーランドやハンガリー、さらに遠く離れた英仏などでも起こっている。医療の専門家も変わらない。妹尾さんの友人のスロバキアの医師は、

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