英国が開発を進める次世代戦闘機テンペスト(C)AFP=時事
 

 2022年4月6日、いくつかの国内メディアが、英国の大手航空宇宙関連防衛企業「BAEシステムズ」が同年1月28日に日本法人BAEシステムズ・ジャパン合同会社を設立していたことを報じた(法人番号指定日は2022年2月2日)[1]。BAEシステムズが2022年初頭までに日本法人を設立することは昨年秋から報じられており、予定通りに実現したということであろう。

 英国にとって、日本との防衛装備・技術協力は、2010年代初頭から着手しEU離脱(ブレグジット)後の対外政策の中軸をなす「インド太平洋傾斜」の一環でもある。「インド太平洋傾斜」には、経済的機会の追求や安全保障面での役割拡大の側面があるが、両者を架橋する武器輸出の拡大も、その重要な目的の1つだからである。その意味で、BAEシステムズの日本法人設立は、英国の「インド太平洋傾斜」を象徴する事象の1つと見做すことができる。

 他方で、当然ながら英国にとってインド太平洋地域における有望な武器市場は日本だけではない。

 本稿は、英国の「インド太平洋傾斜」における武器輸出の取り組みについて、日本、インドネシア、韓国の事例を検討することで、その日英防衛装備・技術協力にもたらす展望と課題を考察する。

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