モディ首相の「攻めの外交」の先に見えてくる一つの可能性とは(C)AFP=時事
 

 ロシアによるウクライナ侵攻からほぼ2カ月が経過しようとしている。世界戦争に発展しかねないプーチンの暴挙を国際社会は強く非難しているがi)、その国際社会の団結を示す試金石が、ウクライナ侵攻直後に開催された国連安全保障理事会におけるロシア非難決議であり、それに引き続く国連総会決議であった。 

 中国の棄権は想定内だったものの、耳目を集めたのがインドの棄権である。 

「自由と民主主義」という価値と理念を共有し「世界最大の民主主義国」であるはずのインドが、これほどあからさまな侵略を、なぜ、非難しないのか? イギリスによる植民地支配に長年苦しみ、非暴力闘争という現在でも世界に影響を与える画期的な運動のスタイルを編み出して独立を勝ち取り、独立後は第三世界の雄として米ソ両大国による覇権を舌鋒鋭く批判してきたインドの理念と外交はどこに行ったのか? 今回のインドの棄権を目の前にして、これらの疑問を抱くのは当然であろう。 

 筆者も、インド棄権の報に驚くと同時に、不吉な予感が頭をよぎった。ナレンドラ・モディ首相は、カシミール侵攻の腹を固めたのではないか、という直感である。 

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。