「影」が語る「火星17型」発射実験の矛盾

IN-DEPTH【ニュースの深層】

2022年4月27日
資料【1】(KODEF分析資料の一部)

 3月24日に北朝鮮が発射したミサイルについて、北朝鮮は最大高度6248.5キロ、飛距離1090キロを飛翔した新型ICBM(大陸間弾道弾)「火星17型」だと発表した。事実であればアメリカ全土を射程に収める脅威だが、これに対しては韓国国防省が分析結果を元に公式に否定、2017年11月に初めて発射された「火星15型」だとするなど懐疑的な見方も広がっている。

 北朝鮮のミサイルを専門に分析する韓国のシンクタンク韓国国防安保フォーラム(KODEF)の内部資料では、このミサイルは火星17型ではない可能性が高いとしている。その根拠は、北朝鮮が発射の模様だとして公開した映像の「影」にある。

 北朝鮮は発射翌日の3月25日、朝鮮中央テレビによる放送の形で映像を公開したが、KODEFはこれについて地図情報をもとに地域を特定、影の位置から撮影時間帯を推定した。

 資料【1】は、ドローンで撮影したとみられる発射前の映像だ。左下にミサイルの移動式発射台が映っており、北東方向に向いている(a)。この部分をさらに拡大すると、移動式発射台の左側に影が映っていることが確認できる(b)。分析を行ったKODEFの関係者は「太陽は東から昇るので、移動式発射台の左側に影が映っているということは、午前中に撮影された映像だ」と指摘する。

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