期限を「9月末まで」と区切る対策、本当にそこで止められるのか(記者会見する岸田首相=26日) (C)時事

 高支持率を謳歌しているかに見える岸田文雄首相が、追い詰められている。猛烈なピッチで進む「円安」に対して、これまでの政策に手足を縛られ、有効な手が封じられている。このままでは輸入物価の高騰が国民生活をジワジワと悪化させていく。参院選を乗り切ることを最大の課題にしている岸田内閣だが、参院選に勝利した後こそ、本当の危機がやってきそうだ。

対策の具体化は参院選後

「私は、2段階のアプローチで万全の経済財政運営を行ってまいります」——。岸田首相は4月26日夜に記者会見を開き、「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」を発表、こう大見えを切った。

 第1段階として今月中に、予備費を使って13兆円の総合緊急対策を打ち、「皆様のお手元に各種支援策をお届けしてまいります」と語った。その上で、夏の参院選挙後に「総合的な方策を具体化」するとした。

 岸田首相が打ち出した「第1段階」の具体策は4つ。

 まず第1の柱は、高騰する原油価格に対応するため石油元売り会社に出している補助金を引き上げる。ガソリンなど1リットルに対して25円の補助金を出してきたものを35円に引き上げる。さらに原油価格が上昇した場合は、上昇分の2分の1を支援すると付け加えた。何としても政府のカネを注ぎ込むことで、ガソリン価格を抑えるというのだ。

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