岸田内閣と「物価緊急対策」の危険な関係 参院選用「アメ」と「円安」で落ちる罠

執筆者:磯山友幸 2022年4月29日
期限を「9月末まで」と区切る対策、本当にそこで止められるのか(記者会見する岸田首相=26日) (C)時事
4月26日に発表された「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」は見事なまでのバラマキになった。夏の参院選対策の気配は濃厚だが、一度バラマキの迷路に入れば「出口」は容易に見つからない。「新しい資本主義」は今まさに、財政肥大化と円安の負の連鎖を招こうとしている。

 高支持率を謳歌しているかに見える岸田文雄首相が、追い詰められている。猛烈なピッチで進む「円安」に対して、これまでの政策に手足を縛られ、有効な手が封じられている。このままでは輸入物価の高騰が国民生活をジワジワと悪化させていく。参院選を乗り切ることを最大の課題にしている岸田内閣だが、参院選に勝利した後こそ、本当の危機がやってきそうだ。

対策の具体化は参院選後

「私は、2段階のアプローチで万全の経済財政運営を行ってまいります」——。岸田首相は4月26日夜に記者会見を開き、「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」を発表、こう大見えを切った。

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カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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