戦勝記念日のパレードに参加したプーチン大統領(C)AFP=時事
 

 2月24日にウラジーミル・プーチン大統領はウクライナでの「特別軍事作戦」を発表し、その目的としてウクライナの「非ナチ化」や非軍事化などを挙げた。

 侵攻を正当化するロジックとして「非ナチ化」を持ち出した理由は何か。結論を先取りすれば、それはロシアの歴史認識と関係している。そこで、プーチン大統領の過去の発言などを確認することで、その意味するところを読み解きたい。

重要な課題として浮上した国民統合

 まず、ロシアの歴史認識を確認しよう。

 ソ連崩壊後のロシアでは、マルクス・レーニン主義や共産主義といったイデオロギーの正当性が失われ、国民の再統合が求められた。

 ソ連崩壊後、ロシアからの独立を志向するチェチェンやタタルスタンなどが勢いを増し、国民統合が重要な課題の1つとして浮上した。統合理念が模索される中、国内で高まる愛国感情を背景に様々な政治勢力が愛国をシンボルとして利用し始めると、初代大統領ボリス・エリツィンもそれに追従した。ところが、山積する内外問題の処理に追われ、国民統合を推し進めるには至らなかった。

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