ロシア国民の多数が支持する「非ナチ化のためのウクライナ侵攻」というプーチンのロジック

執筆者:西山美久 2022年5月25日
エリア: アジア ヨーロッパ
戦勝記念日のパレードに参加したプーチン大統領(C)AFP=時事
 
政府系機関の全ロシア世論調査センターが4月19日に発表した結果によると、圧倒的多数の国民(88%)がウクライナにネオナチ組織があると見ている。そして、こうしたネオナチ組織がロシアの脅威になると答えた人は76%にも上る。ウクライナ侵攻についても、支持する国民の方が多い。こうした国民の意識は、プーチン政権が行ってきた「愛国教育」の結果と言える。

 2月24日にウラジーミル・プーチン大統領はウクライナでの「特別軍事作戦」を発表し、その目的としてウクライナの「非ナチ化」や非軍事化などを挙げた。

 侵攻を正当化するロジックとして「非ナチ化」を持ち出した理由は何か。結論を先取りすれば、それはロシアの歴史認識と関係している。そこで、プーチン大統領の過去の発言などを確認することで、その意味するところを読み解きたい。

重要な課題として浮上した国民統合

 まず、ロシアの歴史認識を確認しよう。

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
西山美久(にしやまよしひさ) 北海道大学国際連携機構特任助教。九州大学大学院比較社会文化学府博士課程修了。筑紫女学園大学、長崎県立大学などで非常勤講師を務めたのち、2019年から現職。専門は現代ロシア政治。著書に『ロシアの愛国主義ープーチンが進める国民統合』(法政大学出版局、2018年)がある。
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