ウクライナ戦争の鍵? 「ユーラシア主義」とプーチン政権がシンクロする場所(上)

執筆者:論壇チャンネルことのは 2022年5月17日
カテゴリ: 軍事・防衛
エリア: ヨーロッパ
2000年代の半ばまではプラグマティズムで動いたプーチン政権が「反西欧」に舵を切る過程。そこには冷戦後のロシアで戦間期の「ユーラシア主義」が再発見され、新たな変容が加わった思想的背景が色濃く影を落としている。(聞き手・吉川弘晃 日本学術振興会特別研究員)(後半はこちらのリンクからお読みいただけます

*浜由樹子氏の講義をもとに編集・再構成を加えてあります。

吉川 ロシア・ウクライナ戦争については、どのような言葉や思想が現実に作動して、なぜ悲惨なことが起きているのかを、中長期的な歴史や文化の視点からも考える必要があります。この戦争の思想的背景にあるユーラシア主義について、国際政治・ロシア研究がご専門の浜由樹子・静岡県立大准教授にお話を伺います。

 まず前提として、ここでは1920年代から30年代に出てきた原型のほうのユーラシア主義を「古典的ユーラシア主義」と呼び、1990年代にロシア国内で再発見された、原型とは少し違う形でリバイバルされたものを「ネオ・ユーラシア主義」と呼んで区別します。

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