ウクライナ戦争の鍵? 「ユーラシア主義」とプーチン政権がシンクロする場所(下)

執筆者:論壇チャンネルことのは 2022年5月18日
カテゴリ: 軍事・防衛
エリア: ヨーロッパ
アレクサンドル・ドゥーギンを「プーチンの影のメンター」に見立てることは、陰謀論に近い危険がある。ただし、内向きのアイデンティティの模索だったユーラシア主義を、攻撃的、対外的な帝国論の一種に変換したその心性は、特に草の根レベルでのロシアの反西側意識に訴えかけるものがある(聞き手・吉川弘晃 日本学術振興会特別研究員)(前半はこちらのリンク先からお読みいただけます

*浜由樹子氏の講義をもとに編集・再構成を加えてあります。

主流派とは言えないドゥーギンの遍歴

浜 1980年代から思想家として活動を始めたドゥーギンは、当初はアンダーグラウンド集団の「ユジンスキーサークル」に所属し、ファシズムに同調した時期もありました。「ユジンスキーサークル」は一言でいえば反体制派なのですが、西側で一般的にイメージされるような自由を求めて戦う集まりではなくて、例えばルネ・ゲノン、ユリウス・エボラの怪しげな神秘主義思想やナチズムのオカルト論などに傾倒していた人々です。ソ連の凡庸さ、退屈な平等主義を嫌悪するというその体制批判は、ある意味では“遊び”の範疇を出ていません。

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