ボンボン・マルコス新大統領とサラ・ドゥテルテ新副大統領(C)EPA=時事

 

 2022年5月9日に行われたフィリピン大統領選挙の結果、かつての独裁者フェルディナンド・マルコスの長男フェルディナンド・ボンボン・マルコスが大統領に、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領の長女サラ・ドゥテルテが副大統領に当選した。

 ボンボン・マルコスの得票が5割を超えたことは歴史的な意味を持つ。1986年以降の大統領選挙では、常に複数の有力候補が競り合い、単独過半数といえる5割を超えた候補はボンボン・マルコスが初めてである。人気があると言われたドゥテルテ候補ですら、4割に留まった。正副大統領を別々に選ぶ選挙制度のため、同じ陣営に属する正副大統領が就任することもまれである。1986年以降の7回の選挙のうち、同じ陣営に属する大統領と副大統領が当選したのは今回で3度目である。

 別稿(2022年1月10日配信のフォーサイト掲載の拙稿)に記したとおり、マルコス陣営に対する票の多くをドゥテルテ政権に対する信認だと考えれば、マルコス=ドゥテルテ政権は、正副大統領を中心に運営されていくと考えられる。

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