黒煙が上がるセベロドネツク近郊(C)AFP=時事

 

「普通の戦争」を始めたロシア軍 

高橋 前回の対談後の流れを振り返ると、5月中旬にウクライナがハルキウ周辺を奪還し、ロシアのイジューム周辺の補給線を断って大勝するチャンスがありましたが、そこには至りませんでした。一方、ロシアは、第2次攻勢の中で比較的うまくいっていたルハンシクからの攻勢軸にリソースを投入して戦果の拡大をはかろうとし、現在はセベロドネツクを巡る戦況が激しくなっています。  

 これまではキーウなどで勝ち切れなかったロシアにウクライナがリアクションしていたのに対し、今度はウクライナが勝ち切れなかったことにロシアがまた新たな手を打ってきたという印象を受けます。 

 

小泉 この3カ月を見ると、ロシアは当初、攻勢側として主導権を持ってウクライナに入ってきましたが、次第にこれが失われ、戦争の完全勝利ができないことが誰の目にも明らかになったのが4月初頭。その後、ロシアは主導権を取り戻すべく、アレクサンドル・ドボルニコフを現場司令官に任命し、思い切った態勢の立て直しをはかって東部での集中攻勢に出た。けれど、主導権を取り戻せず、徐々にウクライナが押し戻してきたのが5月初頭の状況でした。  

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