ウクライナ「運命の3週間」となる「ドンバス会戦」の行方

執筆者:高橋杉雄 2022年4月29日
エリア: ヨーロッパ
マリウポリのウクライナ軍は「捨て石ではあっても犬死ではない」戦いを行っていた(黒煙が立ち上るアゾフスタリ製鉄所=4月21日) (C)AFP=時事/Mariupol City Council
戦局は4月18日から、ロシアがドネツク州北部の完全占領を企図する「第2次攻勢」に移ったと考えられる。その節目が5月9日の対独戦勝記念日に置かれているなら、ウクライナは運命の3週間の只中にあるといえるだろう。まさにシナリオの分岐点にあるこの戦争の行方を、開戦以降の展開で加わった政治的・戦略的な諸条件をもとに捉え直す。

これまでの展開

戦争は新たな段階に入った

 2022年2月24日、ロシアとウクライナの戦争が始まった。ロシア軍はキーウ北方、ハルキウ方面、ドンバス方面、クリミア半島の4方向からウクライナに侵攻した。しかし予想外の頑強なウクライナ軍の抵抗と巧妙な作戦指揮、そしておそらくウクライナ軍を過小評価していたが故の補給の困難や士気の低下にロシアは苦しんだ。南部の要衝、ヘルソンの攻略には成功し、東部のルハンシク州でも占領地域を拡大させてきたが、ドネツク州ではウクライナ軍の防御陣地を突破できず、またキーウ周辺でもウクライナ軍の反撃により包囲を阻止された。こうした状況に直面し、ロシアは東部ドンバス地方への攻勢に集中するとして3月末にキーウ方面の部隊をベラルーシ国境まで撤収させ、作戦の再構築を図った。 

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
高橋杉雄 1972年生まれ。防衛省防衛研究所防衛政策研究室長。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、ジョージワシントン大学コロンビアンスクール修士課程修了。専門は現代軍事戦略論、日米関係。共著書に『新たなミサイル軍拡競争と日本の防衛』(並木書房)、『「核の忘却」の終わり: 核兵器復権の時代』(勁草書房)など。
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