サハリン2のプラントとLNGタンカー[ロシア極東サハリン(樺太)沖、2012年2月撮影] (C)時事/サハリンエナジー社提供

 ロシア極東の石油・ガス開発とLNG(液化天然ガス)事業を遂行するサハリン2プロジェクトの帰趨が日ロ間の重要問題として浮上している。6月30日に、ウラジーミル・プーチン大統領が同プロジェクトの運営を新たに設立する事業会社に移管することを定めた大統領令に署名したことから、日本のエネルギー安全保障が脅かされる可能性が高まっている状況だ。

新事業会社設立から1カ月以内に迫られる判断

 サハリン2は、ロシアのガスプロムが50%プラス1株、国際石油メジャーのシェル27.5%マイナス1株、三井物産12.5%、三菱商事10%の出資比率で設立したサハリンエナジー社が事業会社としてプロジェクトを運営、サハリンにおいて原油生産約15万B/D、LNG生産・輸出約1000万トンの事業規模を有している。LNGのうち約600万トンは日本向けに長期契約を基本として輸出されており、この輸出量は日本のLNG輸入の9%を占める重要な供給源となっている。

 サハリン2は、1990年代に進められたロシアの外資導入の代表的な成果と言うべき大規模エネルギープロジェクトだ。しかしロシアのウクライナ侵攻で、同プロジェクト参加外資の筆頭であるシェルは、2月末に撤退方針を表明した。他方、日本の2社は、両社にとっての本事業の重要性に加え、日本のエネルギー安全保障への重要な貢献を鑑み、事業継続方針を示していた。

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