ロシア「サハリン2接収」の揺さぶりには「正論」で応じつつ有事の備えを

執筆者:小山 堅 2022年7月14日
エリア: アジア
サハリン2のプラントとLNGタンカー[ロシア極東サハリン(樺太)沖、2012年2月撮影] (C)時事/サハリンエナジー社提供
全輸入の9%を占める「サハリン2」からのLNG供給が途絶えれば、その代替エネルギー確保は日本の有事そのものだ。あくまでも国際的ビジネスの「正論」で日本の正当な権利を主張しつつ、火力発電の最大利用、安全性を確保した上での原子力再稼働など、危機対応体制を早急に構築する必要がある。

 ロシア極東の石油・ガス開発とLNG(液化天然ガス)事業を遂行するサハリン2プロジェクトの帰趨が日ロ間の重要問題として浮上している。6月30日に、ウラジーミル・プーチン大統領が同プロジェクトの運営を新たに設立する事業会社に移管することを定めた大統領令に署名したことから、日本のエネルギー安全保障が脅かされる可能性が高まっている状況だ。

新事業会社設立から1カ月以内に迫られる判断

 サハリン2は、ロシアのガスプロムが50%プラス1株、国際石油メジャーのシェル27.5%マイナス1株、三井物産12.5%、三菱商事10%の出資比率で設立したサハリンエナジー社が事業会社としてプロジェクトを運営、サハリンにおいて原油生産約15万B/D、LNG生産・輸出約1000万トンの事業規模を有している。LNGのうち約600万トンは日本向けに長期契約を基本として輸出されており、この輸出量は日本のLNG輸入の9%を占める重要な供給源となっている。

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執筆者プロフィール
小山 堅 日本エネルギー経済研究所専務理事・首席研究員。早稲田大学大学院経済学修士修了後、1986年日本エネルギー経済研究所入所、英ダンディ大学にて博士号取得。研究分野は国際石油・エネルギー情勢の分析、アジア・太平洋地域のエネルギー市場・政策動向の分析、エネルギー安全保障問題。政府のエネルギー関連審議会委員などを歴任。2013年から東京大公共政策大学院客員教授。2017年から東京工業大学科学技術創成研究院特任教授。主な著書に『中東とISの地政学 イスラーム、アメリカ、ロシアから読む21世紀』(共著、朝日新聞出版)、『国際エネルギー情勢と日本』(共著、エネルギーフォーラム新書)など。
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