ロシア・サハリン沖のLNG開発事業「サハリン2」プラント。[サハリンエナジー社提供](C)時事

 

「サハリン2」大統領令の正当化戦略

 2022年6月30日、ウラジーミル・プーチン大統領はロシア極東の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」を事実上接収する大統領令に署名した。このプロジェクトの運営主体である「サハリン・エナジー・インベストメント」には、ロシアのガス大手「ガスプロム」やイギリスの石油会社「シェル」のほか、日本から三井物産と三菱商事も参加している。

 資源大国としての優位性を有するロシアは近隣諸国への天然ガス供給を停止するなど、エネルギーを政治的道具の1つとして利用してきた過去がある。2006年、2008年~2009年にかけて生じたロシア・ウクライナ間のガス紛争はよく知られている。両国はガス価格などをめぐって協議を続けるも折り合いがつかず、最終的にロシアがウクライナへのガス供給を停止した。これに伴い、ウクライナを経由する欧州向けのガスの量も減少し、2国間の枠を超えて国際問題にまで発展した。

 各種報道では、「サハリン2」プロジェクトに関する大統領令も政治的思惑から発出されたのではないかと指摘されている。

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