金浦空港で、羽田空港との航空便再開を祝って行われた歓迎式典(C)時事

 

 新型コロナウイルス禍で2020年3月から中断していた、東京の羽田空港と韓国・ソウルの金浦空港を結ぶ航空路線が6月29日、約2年3カ月ぶりに再開した。羽田―金浦線は、コロナ禍による行動制限の影響を受けるまでは、週に84往復が運行し、年間約200万人が利用する「ドル箱路線」だった。毎日10往復以上運行する飛行機の座席がいつもほぼ満席だったことからも、その人気の高さがわかるだろう。

 この路線は、03年に小泉純一郎首相と盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領がシャトル便の運航で合意し、開始された経緯がある。羽田と金浦はいずれも都心に近く、ビジネス客や観光客にとっての利便性が高いことから需要が高かった。先月29日に再開されたのは週8往復で、コロナ禍前の1割程度の水準だが、交流拡大の契機につなげたいと関係者の期待は大きい。

 その一方で、再開までの経緯からは日韓の「温度差」も浮かび上がる。

早期再開にこだわった尹氏

 羽田―金浦線再開の話が動き出したのは、韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)氏の大統領就任前の4月、日本に政策協議の代表団を派遣した際だった。「羽田-金浦線の再開は、韓日関係改善の象徴になるのではないか」。代表団は早期再開を実現すべきとの考えを提案し、日本側も前向きな姿勢を示した。これを受けて、韓国側は「代表団との会談で、早期の再開に日本側と同意した」と尹氏に報告したことから、事態は急ピッチで動き出す。

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