ドル箱「羽田―金浦路線」再開で浮き彫りになった日韓「関係改善」の温度差

執筆者:佐藤大介 2022年7月22日
タグ: 日本 韓国 尹錫悦
エリア: アジア
金浦空港で、羽田空港との航空便再開を祝って行われた歓迎式典(C)時事
尹政権発足を機に日韓関係改善の期待が高まるが、一筋縄ではいかないことを如実に物語っているのが、日韓交流の象徴とも言えるドル箱路線再開をめぐる両国の温度差だ。

 

 新型コロナウイルス禍で2020年3月から中断していた、東京の羽田空港と韓国・ソウルの金浦空港を結ぶ航空路線が6月29日、約2年3カ月ぶりに再開した。羽田―金浦線は、コロナ禍による行動制限の影響を受けるまでは、週に84往復が運行し、年間約200万人が利用する「ドル箱路線」だった。毎日10往復以上運行する飛行機の座席がいつもほぼ満席だったことからも、その人気の高さがわかるだろう。

 この路線は、03年に小泉純一郎首相と盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領がシャトル便の運航で合意し、開始された経緯がある。羽田と金浦はいずれも都心に近く、ビジネス客や観光客にとっての利便性が高いことから需要が高かった。先月29日に再開されたのは週8往復で、コロナ禍前の1割程度の水準だが、交流拡大の契機につなげたいと関係者の期待は大きい。

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カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
佐藤大介(さとうだいすけ) 共同通信社 編集委員兼論説委員。1972年、北海道生まれ。明治学院大学法学部卒業後、毎日新聞社を経て2002年に共同通信社に入社。韓国・延世大学に1年間の社命留学後、09年3月から11年末までソウル特派員。帰国後、特別報道室や経済部(経済産業省担当)などを経て、16年9月から20年5月までニューデリー特派員。21年5月より現職。著書に『ルポ 死刑 法務省がひた隠す極刑のリアル』 (幻冬舎新書)、『ドキュメント 死刑に直面する人たち――肉声から見た実態』(岩波書店)、『13億人のトイレ 下から見た経済大国インド』(角川新書)、『オーディション社会 韓国』(新潮新書)などがある。
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