中国「台湾封鎖・軍事演習」3つのポイント

執筆者:山口信治2022年8月10日
軍事演習が常態化しエスカレーションする可能性も(C)AFP=時事

 

 2022年8月2日から3日にかけて、米国のナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問した。中国はこれに対して強く反発し、ペロシ下院議長が台湾を離れるのに合わせて、8月4日から7日にかけて大規模な軍事演習を実施した。

 この軍事演習は、どのような目的で、何を重視して行われたのだろうか。また日本にとってどのような影響をもたらすのだろうか。米中双方がこの時点での戦争を望んでいない以上、大規模な軍事衝突の可能性は小さいものの、今回の演習はより広範かつ長期的な意味を持つと言えるだろう。

 特に注目すべきは、中国がこの演習を通じて、①中国の決意を示すこと、②封鎖の訓練ならびに封鎖が可能であることを台湾に示すこと、③三戦(世論戦、心理戦、法律戦)と演習を組み合わせることを重視していた点だ。

中国が示した決意

 まず、中国は台湾問題について、台湾と外国政府に対して中国がこの問題について譲歩することはないという断固とした決意を伝えようとしている。

 近年、中国が台湾に対する政治的・軍事的圧力を強める中で、米国、欧州、日本は台湾に対する実質的な関与を深める傾向にあった。中国はこうした動きを、外国勢力が蔡英文政権を助け、中国の台湾統一への道を阻むものとしてとらえている。今回のペロシ下院議長の訪問は、まさにこのような一連の動きをさらにレベルアップするもとして映っただろう。

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