ペロシ訪台を「脅しの情報戦」に使う習近平と「網民」ナショナリズムの危険な火遊び

執筆者:城山英巳 2022年8月5日
エリア: アジア
「重要軍事演習」で発射されたミサイル(C)AFP=時事
ナンシー・ペロシ米下院議長の訪台を受け、米台のみならず日本をも巻き込む危険なゲームを始めた習近平指導部。彼を駆り立てているのは、「網民」と呼ばれる中国のネット民に広がる戦狼外交への心酔とナショナリズムだ。国内世論を味方に展開する「脅しの情報戦」――。

 

 ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問を受け、中国の習近平指導部は、台湾を包囲した「重要軍事演習」を強行し、弾道ミサイルを相次ぎ発射した。「やられたらやり返す」を信条とする「戦狼外交」をパワーアップした「脅しの情報戦」と捉えるべきだろう。米国と一戦を交える考えなど毛頭もないにもかかわらず、実際の台湾侵攻を思わせるリアルな軍事演習映像を即座に発信することで、「台湾に触れれば、ただでは済まないぞ」と、米日欧の民主主義陣営や台湾の蔡英文総統に対して「本気度」を誇示することが目的だ。そして「敵」が委縮する間に、「台湾包囲演習」を常態化させ、「台湾封鎖」を既成事実化する――。

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
城山英巳 北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院教授。1969年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、時事通信社に入社。中国総局(北京)特派員として中国での現地取材は十年に及ぶ。2020年に早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了、博士(社会科学)。2010年に『中国共産党「天皇工作」秘録』(文春新書)でアジア・太平洋賞特別賞、2014年に中国外交文書を使った戦後日中関係に関する調査報道のスクープでボーン・上田記念国際記者賞を受賞。著書に『中国臓器市場』(新潮社)、『中国 消し去られた記録』(白水社)、『マオとミカド』(同)、『天安門ファイル-極秘記録から読み解く日本外交の「失敗」』(中央公論新社)などがある。
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