「小幅増産」以外の選択肢をとるのは難しかったのも事実[右=ムハンマド皇太子、中央=バイデン大統領、左=バーレーンのハマド国王 7月16日](C)AFP=時事

 ウクライナ危機以降の国際エネルギー情勢不安定化で、原油価格高騰が再び世界の大きな関心を集めるようになった。石油輸出国機構(OPEC)およびロシアなどの一部の非OPEC産油国が協力する「OPECプラス」産油国グループの生産調整政策の決定がニュースのヘッドラインを飾る機会も多くなっている。

 中でもOPECの盟主、サウジアラビアの政策動向への関心は高い。7月中旬には米国ジョー・バイデン大統領がサウジアラビアなど中東を歴訪し、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子と会談、両国の関係改善とともに原油増産を要請した。この異例ともいえる増産要請の後、OPECプラスは8月3日の会合で9月以降は日量10万バレル(B/D)の増産を決定した。サウジアラビアの戦略判断がこの小幅増産決定の背景要因として重要な役割を果たしたであろうことは想像に難くない。本稿では、サウジアラビアの「産油国パワー」を巡る様々な問題を取り上げ、掘り下げてみたい。

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