東地中海ガス田をめぐる虚実皮膜・再論

執筆者:池内恵2022年8月27日

   先ほどこの「中東通信」欄に「トルコとイスラエルは不承不承に関係を修復」を寄稿して、ここ半年余りのトルコ・イスラエル外交関係の進展について記事をまとめておいた。

   このまとめを行ったのは、トルコ・イスラエル関係、特に2020年ごろから焦点となっている「東地中海ガス田」の開発やパイプライン輸送について、筆者が気になっている点があるからだ。

   一つは、イスラエルが2019年12月から2020年1月にかけて、トルコの周辺諸国との間でEastMedと名付けられたパイプライン構想に関する合意を高らかに表明したことで、トルコの孤立化を印象付け、外交的な圧力をかけることに成功したものの、では石油資源開発として、パイプライン計画として、これにどれだけの合理性や成算があったのだろうか、という問題である。

   この問題については「中東通信」欄でも幾度か取り上げてきたが、連載「中東 危機の震源を読む」では一度、詳細に論じておいた。

「年末年始・中東のもう1つの騒動:東地中海ガス田をめぐるトルコとイスラエルの虚実皮膜」『フォーサイト』2020年1月29日

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