米司法省は作家の収入減が創作物の減少を招く問題を指摘している  (C)REUTERS

[ワシントン発(ロイター)]米司法省は8月19日、「ビッグ5」と呼ばれる出版社2社の22億ドル(約3185億円)規模の合併を阻止するよう裁判所に要請した。「市場競争が重要だ」として、出版業界を他の業界と区別して扱うべきではないとの考えを示した。

   司法省は昨年、世界最大の出版社「ペンギン・ランダム・ハウス」(独メディアグループ「ベルテルスマン」傘下)による、「サイモン&シュスター」(米多国籍マスメディア「パラマウント・グローバル」傘下)買収を阻止するために提訴している。米国連邦地方裁判所のフローレンス・パン判事は、双方が審判請求理由補充書を提出した後、今後数カ月以内に書面による決定を下す予定だ。

2社が合併すれば市場の約半分を支配

   米出版業界は現在、大手5社が市場の9割を支配する。仮にこの2社が合併すれば、そのうち約半分を支配することになるという。司法省の弁護士ジョン・リード氏は法廷で、「これは本への愛についての問題ではない」と指摘。「合併が成功すれば、ペンギンが今以上に支配的になることは間違いない」と述べた。リード氏はまた、小規模な出版社の市場参入は極めて困難であり「アマゾンでさえ成功していない」として、出版事業を縮小しているこのオンライン小売業者の現状についても言及した。

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