米司法省、大手出版2社の合併は「作家の収入減を招く」と主張

2022年9月7日
エリア: 北米
米司法省は作家の収入減が創作物の減少を招く問題を指摘している  (C)REUTERS
大手5社が市場の9割を占める米出版業界で、「ペンギン・ランダムハウス」による「サイモン&シュスター」買収の行方が注目を集めている。両社は合併後もそれぞれのレーベル間で競争を維持するとしているが、ベストセラー作家のスティーヴン・キング氏は「夫と妻が同じ家を競り合うようなもの」と証言。米司法省も作家に支払われるアドバンス(印税前払金)引き下げにつながりかねないと懸念を示す。

[ワシントン発(ロイター)]米司法省は8月19日、「ビッグ5」と呼ばれる出版社2社の22億ドル(約3185億円)規模の合併を阻止するよう裁判所に要請した。「市場競争が重要だ」として、出版業界を他の業界と区別して扱うべきではないとの考えを示した。

   司法省は昨年、世界最大の出版社「ペンギン・ランダム・ハウス」(独メディアグループ「ベルテルスマン」傘下)による、「サイモン&シュスター」(米多国籍マスメディア「パラマウント・グローバル」傘下)買収を阻止するために提訴している。米国連邦地方裁判所のフローレンス・パン判事は、双方が審判請求理由補充書を提出した後、今後数カ月以内に書面による決定を下す予定だ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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