プーチン大統領は9月21日、予備役の部分動員令に署名したことをテレビ演説で発表した (C)EPA=時事

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が9月21日、予備役の部分動員を命じる大統領令を発表し、全土で招集が始まった。ロシアが支配するウクライナ東部、南部の4州の親露派勢力はロシアへの編入を問う住民投票を23~27日に実施。予備役招集と4州の併合により、ウクライナ侵攻は新段階に入る。ウクライナ側は無視して攻勢を続ける構えで、戦闘のエスカレートは必至だ。

 ロシアでは、動員に反発する若者らが国外に脱出、反戦運動にも着手するなど、社会の動揺が拡大し、国内情勢も緊迫してきた。

 それにしても、プーチン政権は当初、住民投票を無期延期し、動員にも否定的だったのに、なぜ数日間で豹変したのか。クレムリン内部の「異変」を探った。

上海協力機構首脳会議後に重大な路線転換の可能性

 ウクライナ軍は9月に北東部で反転攻勢に着手し、ハルキウ州のロシア軍は一斉に敗走。ウクライナ側は6000平方キロの領土を奪還したと発表した。これに対し、ロシアの反応は当初、抑制的だった。

 プーチン大統領は9月16日、ウズベキスタンでの上海協力機構首脳会議での記者会見で、ウクライナ軍の攻勢に関する質問に、「特別軍事作戦は計画通り進んでおり、調整する必要はない。主目標はドンバスの全面解放だ」と指摘。動員についても「急ぐ必要はない」と述べていた。編入住民投票も、4州の親露派勢力は安全上の配慮から延期するとしていた。

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